2019.3.5
目を見張る艶やかな朱色と交差する繊細な竹編模様、そしてその2つが合わさって形作られた「月の舟」。
2018年9月、銀座和光にて「融合する工芸」というテーマで、異なる分野の工芸作家によるコラボレーション作品が集まりました。その中のひとつ、漆芸(乾漆)・笹井史恵と竹工芸・四代田辺竹雲斎の合作によるものです。空想的な銘を名付けられたこの作品は、その名の通り、誰もがイメージしやすい月の姿を美しく優雅に魅せながらも、それとは対照的に月のイメージにはない朱色を使うことで、漆や竹といった古典的な作品イメージをまったく新しいアート作品へと昇華しているようです。ゆったりとした曲線は大らかで、左右の先端部分は滑らかに上昇し、その美しい舟形は私たちをロマンチックな気分にさせてくれます。
白くて軽やかな竹の表情と乾固した朱漆の均等な面は、美しいコントラストを作り出しています。女性作家である笹井史恵の強固な乾漆工芸と男性作家である田辺竹雲斎のしなやかな竹工芸は、とても魅力ある素敵な作品を生み出しました。
この朱色は漆芸(乾漆)・笹井史恵の作品に無くてはならないイメージカラーです。また丸みを帯びた優しい形も乾漆だからこそ作り出せる彼女独特の制作スタイルです。朱色と乾漆にこだわる彼女の作品はどれも個性的なフォルムも持っています。色と工法にルールを持たせつつ、そこから自分らしさをどう導き出していくのかを考えつつ作られた作品はどれも魅力的です。そんな作風を生かした柔らかく女性らしい舟形は、私たちを癒しつつも、同時に強く芯のある彼女の信念も見えてくるようです。強い部分と穏やかな部分、両方を合わせ持つ笹井史恵の作風は残しつつ、竹の表情を邪魔することもなくお互いが惹き立て合いながら存在している素晴らしい作品です。
削り出された竹は白く輝き、自然が作り出す美しさを私たちに見せてくれます。一本一本は繊細で儚げな竹ひごですが、それを丁寧に重ね広げていくことで構成されている面は、より豊かな表情に変化しています。また柔らかい曲線が、規則正しく打ち寄せるさざ波のように美しい連続模様を作り出し、この作品の主題となる「月の舟」のイメージを作り出しているようです。編み込まれた竹は奥行のある立体感があり、空気を含むやわらかさと光を透過させる適度な空間を併せ持ち、優雅で上品な雰囲気を醸し出しています。高い編組技術と自身の美的感覚を駆使しながらも、それを感じさせない軽やかさがこの作品にあるのは、四代田辺竹雲斎の持つ伝統と経験から来るものでしょう。
「月の舟」
サイズ:12cm × 53.5cm ×x36㎝(H)
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