2019.1.17
「円相」と名付けられたこちらの作品は、四代田辺竹雲斎により2016年に制作・発表されたものです。彼の作品の中には、いくつかの「円相」が作られており、それぞれに異なったフォルムや微妙な細工の変化を持ちながらも、大まかな円いイメージは統一されたシリーズとなっています。
一般的に「円相」とは、円の形を筆で墨書したもので、禅宗における真如や仏性など文字や言語では表現し尽くせない絶対的真理や悟りそのものを表現する方法の一つです。私たちには茶道の掛軸としてこの「円相」は馴染みのある禅語なのではないでしょうか。またその他にも、欠けることのない円満性や汚されることのない完全な心の本性を表わしているとも言われています。しかし、見る人の境涯やその時の心境のあり方によって「円相」に何を見るかは様々であり、明確な答えがないことも禅語の特徴です。しかし「円相」は素晴らしい教えの一つとして私たちに考える機会を与えてくれるものです。
この作品を真横から見ると、まるで「円相」とは程遠い形をしています。しかしその姿は、大地から空へ向かっていくような、また上空から大地へと広がり降りてきたものが再び循環していくような、そんな大きな流れを感じるのは私だけでしょうか。
ひとつの作品を別の角度から眺めた時に、まったく違った姿になる様子はとても興味深く、あらゆる角度から見なければ全容が明らかにならないのは、人間や物事も同じです。そんな悟りのような意味づけができるのも、この作品が「円相」と名付けられたからなのです。
どこから眺めても美しく凛とした線が存在する、それは「竹」という素材が持つ、しなやかさ・強さから作り出されるものなのかもしれません。
次にこの作品の細かな部分に目を向けてみます。
竹の1本1本はとても滑らかで、同じ幅で同じ厚み、そして同じ曲げの加工が施されています。「円相」を形づくる57本の竹ヒゴ全てが狂うことなく美しく整えられています。竹籃の作品でヒゴは馴染みのある材料ですが、竹林より切り出した竹の形を整え、乾燥させ、割る・削ぐ・曲げるなど、作品に使われる材料の準備には途方もない工程を経ていることでしょう。しかし、そういった手の掛かる作業を感じさせない軽やかさや、清々しさが、この「円相」の最大の魅力です。肩の力を抜いたような自由さが細かな部分からも感じ取れます。
全体を眺めた時の美しさ、細部に目を向けた時の感動。
花籃ではない新しい竹工芸、”ART”としての「竹」は、確かな可能性を私たちに感じさせてくれます。
「円相」-Enso-
サイズ:56cm x 56cm x 20.5cm
四代田辺竹雲斎公式ページ
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